「sirotoシナリオの作り方。―――その傾向と対策」(笑)

 さて、いきなりですが、sirotoのシナリオの作り方を暴露つーか、発表します。
 ただし、はじめに言っておきますが、とても特殊な作り方かもしんないし、こうやって作るのが簡単だ!、ということではなく、sirotoの作るヘッポコ・シナリオを楽しむ(?)ための傾向と対策を練る下準備みたいなモンと思ってください。(笑)
 または、厚かましいお願いかなぁ。(苦笑)

 まず、僕のシナリオの作り方は、やりたいシチュエーションやシーンが、パッ、と降りてきます。
 大概、邦楽の歌詞を聴いているときです。
 具体的な例を出すと、『愚者の楽園』のサイトにある『NOVA−D』のリプレイは、鬼束ちひろの『Castle・imitation』ですし、4/17にやった「まばゆい以下略」も同アーティストの『LITTLE BEAT RIFLE』の歌詞に触発されて、電波が降りてきました。
 んで、シーンやシチュエーションの次に、そこにいる人物(主にNPC)が浮かび、そこからストーリー・ラインのようなモノが浮かびます。
 具体的に言うと「血まみれで泣き叫ぶ美しき異形の少女」とか「白い鳩と教会と二丁拳銃を持った美少女」とか「闇の中で泣いている幼く繊細な少年」とかです。(苦笑)
 このときに浮かんだストーリー・ラインは、あくまでも数多あるラインの一本であり、それは絶対的なモノではありません。
 だいたいにおいて、sirotoの場合、このラインはバッドエンド一直線です。つまり、PC(PL)たちが、なにもしてあげないと、不幸な結末になるのです。
 具体的に言うとFEARのゲームの場合は、ハンドアウトを書きます。次に、オープニングを書きます。ここまでは、ほぼ電波を受けての自動書記状態です。(笑)
 つぎに、大まかなエンディングを思い浮かべ、それを箇条書きにします。具体例をだすと、「ハッピーエンド:ヒロイン生存&依頼達成」とか「ちょっと切ないエンド:依頼成功でもヒロイン死亡」「バッドエンド:ヒロイン死亡&依頼失敗」とかです。
 そして、それから、一番はじめに浮かんだストーリー・ラインを覆す方法を考えます。大概は、情報を獲得して、フラグを満たして、敵対人物(NPC)の思惑を阻止することです。
 それから、PL(PC)たちが情報を獲得しやすいように、または、事件を解決(敵対NPCの思惑を阻止)するためのPCが戦う理由(モチベーション)のために、イベントを配置します。
 このイベントは、ほとんどが情報収集へのヒントや入り口として、また、PCが、なぜ戦うのか?、という理由づけの為にあります。
 sirotoの場合、よく描写やNPCからPCへの台詞の内容などに、情報を織り込みます。
具体例:
 そして、その一週間後。春休みに入ったある日。今、君は、彼女の姿を見つけた。
 TVに映るニュース画面。そこは、どこかの山の麓の映像でした。
「−−−をお伝えしています。どうやら現場でなにか新しい動きがあったようです。現場に阿部さんがいっています。現場の阿部さーん」
「はい。こちら現場の阿部です。いま、私はS県にあるF山の麓にあるA村に来てます。あっ、いま、信者の方々が移動を開始したようです。あちらです。えっー見えますでしょうか? 信者の方がザッと五百人から六百人はいると思われます。続々と入り口から中へ入っていくのが見えますでしょうか」
「例の問題になっていた地下施設への入り口です。信者の莫大なお布施で作られたもので、その集金方法が社会問題化した問題の施設です」
「阿部さん。その問題の施設は、巨大な核シェルターということですが、これだけの人間が長期にわたり生活できるのでしょうか?」
「そうですね。内部で人権侵害などが行われる危険がないか、そういう問題もあります。それに未成年の子供たちも信者の親に連れられ来られている場合もありまして・・・」


 上記の記述を一気に読みます。もちろん、PLから質問があれば答えます。
 上記の例だと「彼女を見つけたこと」「S県のF山の麓」「シェルター」「500〜600人収容可能」「社会問題になってる」「信者の未成年の子供たちも連れて来られている」という情報を伝えているつもりなのです。sirotoは。
 こういうことを良くやるのが、sirotoシナリオの特徴らしいです。が〜じる先生が言ってました。
 こういったことだけでなく、NPCの感情表現的な科白にも情報を交ぜたりします。
具体例:
 のどかな農村であるはずのノルトラインに突如して現われた帝国の飛行船。
 飛行船の船底ハッチから投下された巨大な棺桶のようなモノ。そして、飛行船から、次々と降り立った兵士たちは、虐殺を開始する。
 それに抵抗し、村人を逃すために戦ったエレハイム。
 『クリムゾン・ブレード』の力は圧倒的だった。深紅の刃を振るい、舞い踊るかのように、たった一人で、帝国軍一個大隊を劣勢に追い込む。あの男が現われるまで。
 その男は、純白の僧衣に身を包み、乱れた銀色の髪のかきむしり、飢えた獣のようにギラギラと輝く青い瞳をエレハイムに向けると、痩せこけた顔に狂気じみた笑いを浮かべたという。
「おおっ。素晴らしいっ。素晴らしいコンバット・アビリティだ。『クリムゾン・ブレード』。おや、あとひとり、いるはずだと思うが・・・。たしか、『ライトニング・ブルー(PC)』・・・彼は留守か。残念なことだ。だが、まぁ、ひとりでもよかろう。実験サンプルは多いに越したことはないが、いや、まてよ。シャードの回収があったな。これは困った」
 独白する僧衣の男に、爆炎の轟きを思わせる速度で近寄ったエレハイムの身体は大きく後方に跳ね飛ばされました。宙空で態勢を立て直し、地面にぶつからなかったのは、見事なまでの体術の冴えだが、彼女の表情には余裕はない。大軍に囲まれても失われなかったものが。
「素晴らしい。素晴らしいぞっ『クリムゾン・ブレード』。だが、君では、私に勝てんよ。それが、わかるだろう? ああ、逃げようなどと思わぬことだ。君が逃したと思っている村人たちへの攻撃命令を発してもいいのだよ。ほら、急がなければ、村人たちが殺されてしまうぞ」
 にいっ、と爬虫類のような冷え冷えとした笑みを浮かべた男へ、音もなくエレハイムが深紅の刃と化して疾走したのは、焦慮の故だろう。
 だが、つぎの瞬間、彼女の身体は宙空で停止し、そして、四散したッ!!
 まるで目に見えない巨人の手で引き裂かれたように、コンクリートに叩つけられた熟れた果実のように、その美しくしなやかな肢体が、砕け散ったのだ。吹き出した流血のシャワーと四方に飛び散った肉片、臓器、骨のかけらを、両手をゆっくりと広げて全身に浴び、純白の僧衣を深紅に染めて、男はけらけらと心の底から楽しそうに笑った。
 どこからか流れてくるピアノいや、パイプ・オルガンの旋律だろうか。いや、鋼鉄の巨大な棺桶のようなモノから、それは流れてきていた。『月光』ベートーヴェン作曲だと思ってください。
 その調べに聞き惚れるように目を閉じていた僧衣の男は、懐から細長い機械を取り出すと、左手にいつの間にか握り締めていた深紅の水晶−−−いや、シャードをその中へと入れた。
「よし。目的のひとつは達成した。実験も成功だ。帰還するぞ」
 駆け寄って来た兵士に対して、僧衣の男はそう告げました。
「・・・シモン猊下、まだ、生き残りの村人たちがいますが、いかがいたしますか?」と帝国士官。
「捨てておけ。急ぎ、我が都市『バルヨナ・シモン』に帰還するぞ。私の帰りを彼女が待っているのだから。・・・『ヴェイトール』を急いで運べ。傷ひとつでもつければ、わかっているな、ん?」
「はっ、はい。ご安心ください!!」
「いい返事だ。これで、世界は君と私のモノだよ−−−マリア」


 上記の中に、どれぐらいの情報があるかは、各自が確認してみてください。(笑)
 長くて、これだけでもわかりにくいのに、困ったことにsirotoは、台詞の部分を感情こめてロールしてたりするんで、さらにわかりにくいです。(苦笑)
 んで、描写が長いので、ゲームと関係ない話題で盛り上がってたり、寝てたり、ボッーとしてたり、ルールブック読んでたり、イラストを一生懸命描いてたり、sirotoの早口についてこれなくて、聞き逃しちゃったりした場合は大変です。そう言う場合は、ちゃんとその場で「もう一度、言って」と言ってくれれば、もう一度、その場で言います。ここは重要です。テストに出ます。
 あと、ともかく、NPCがPCの前にいたら、色々とツッコんでみましょう。NPCが、PCの前でペラペラ喋っているのをただボッーと聞いて、それだけで情報は全部聞いたと思ってはいけません。NPCにだって、隠したいこと。言いたくないこと。言えないこと。嘘をつくこと。色々あります。
 だから、PCの知る限りの知識で、ガンガン語りかけて、カマかけて、GMの様子を見たりしてみてください。
 「どうせ、このNPCは答えてくれないだろう」「言わないだろう」「わからないだろう」「全部教えてくれただろう」なんて、ナンセンスです。
 あまつさえ、「しても無駄だからやらない」「無理だろうからしない」とか。
 なにかやる前から諦めていたり、黙っていたって事態は好転しません。また、仮に、その会話・行動の結果、事態が悪い方向に進んでも、頑張って挽回すればいいんです。挽回できなくても、その不測の事態を楽しむぐらいの気持ちで、ハプニングなイベントでも、オレのPCの目立つチャンスぐらいの気持ちでいましょうよ。
 なにもやらずにバッドエンドになるよりは、なんか失敗してバッドエンドの方が、次にゲームやるときに活かせると思いますし。
 あと、基本事項ですが、単語はメモしましょう。人名とか、場所の名前とか。
 昔と違って、キーワードだけ言って、『×××(キーワード)を調査します』で、ダイス振って達成値でOKですから(笑)、単語をメモして、それを調べるだけで、かなりの情報がゲットできるはずです。んで、その聞いた情報の中に、また新しい単語があったら、それを調査するで。
 だいたいの具体的に出てきた単語には、すべて情報項目として、存在していると考えていいです。例え、どーでもいい情報でも、存在してますから。ちゃんと作ってますから。まぁ、それはダミーであったり、ブラフであったりすることもありますが。(笑)
 そう。嘘の情報とかも交ぜたり、ミス・リードしようとするんで、sirotoはタチ悪いんですが、全部の情報が開示されれば、それが嘘である、ミス・リードである、と分かるように設計してあります。一応。
 あと、余裕があれば、NPCの目的を推測してみてください。
「こいつは、どうしてこんなことするんだろう?」
 とか推理してみて、その推理に手に入れた情報を重ねてみたりすると良いんじやないかな。そうすることによって、NPCの目的と矛盾するような情報があったら、それは嘘であるとかミス・リードだとか、それともこっちが本命とか、わかるかも。
 ともかくですね。sirotoシナリオは、PCは喋らなくちゃダメなんです。喋って感情表現して、行動して、暴れなくちゃダメなんです。PLは、ちゃんとGMが喋っていることを聞いて、メモしなくちゃキツイんです。
 あと描写がウザいんです。それが、イヤ!、という方は言ってください。薄くすることも可能ですから。(笑)
 なんつーか、偉そうですかね、こういう内容?
 もし気に障った人がいたら、ごめんなさい。
 あと異論反論があったら、お待ちしております。みなさんの意見が聞きたいです。